一つの時代の終焉は全ての終焉ではない タイガーとデュバル

男子ゴルフの最新世界ランキングが6日発表され、ヴィジェイ・シンが「ついに」1位に浮上し、1999年8月8日から264週連続でランキングトップを守ってきたタイガー・ウッズがトップより陥落した。その前の最長記録グレッグ・ノーマンの記録をほんの数週上回ったことは、何の慰めにもならないだろう。
しかも、このトーナメントでシンは優勝しての逆転である。彼の練習熱心、ゴルフに打ち込む姿も含め、もはや文句の付けようのないランキングの逆転劇である。
これはあるひとつの時代の終焉である。
そう、タイガー最強の時代の。
しかし、彼はまだ終わらないだろう。群雄割拠の時代の中で、輝きを取り戻す力があると思うからだ。選手としての力はまだまだTOP選手だと思う(ただ、彼は他人の意見をもうちょっと聞いたほうがいいが)。
まぁ、タイガー時代はタイガーバブル、とも言うべき現状だったのではなかろうか。あらゆる記録を次々と塗り替えた。
思えば、あのときが強すぎた。だから、今は勝てない=弱いという思考になりがちである。ただ、それは性急な意見だと思う。
彼が勝てなくなった、というよりも、やはりクラブなどの急激な進化がタイガーと他の選手とのアドバンテージを無くしてしまったのが最大の要因だと思う。ここ数年のクラブが私が見ても、全然変わってしまっている。(タイガーはナイキを選択した時から、おかしくなってしまっている。また、タイトリストを使用していた時代はあれだけ時代と逆行したクラブで圧倒的なアドバンテージがあった)
そうすると、彼の時代が復活することは、まだ先なのかもしれない。
しかし、ある地点の過渡期は終焉とはならない。
そして、この大会にもうひとつトピックスがある。
これは絶対に外せない話題だ。
このランキング交代が行われたドイツバンクUS選手権。デビッド・デュバルが今季初の予選通過を果たし、5アンダー13位タイで終えた。この13位タイの賞金$93,750(約1,030万円)は、去年獲得した賞金総額を上回るものである。
タイガーと双璧をなした時代をつくった元ランキング1位。メジャーではなかなか勝てなかったものの(勝利してます)アメリカのツアーでは圧倒的な強さであった。そのプレーは精密機械そのもの。プレーに派手さはないものの、強い、と言わしめるものがあった。
そう、彼も時代を創った男の一人である。
しかしその後、彼は一言で言えば精神的な「もの」で悩み、苦悩し、無気力になり何も信じられなくなってしまった。それは彼からゴルフという競技を奪い去ってしまう。その結果、トーナメント上位はあろか予選さえ通らなくなってしまった選手である。
その彼が、ようやく一筋の光を見つけ、それはわずかではあるかもしれないが、長い長いトンネルの出口を見つけようとしている。
・・・今書いていて、気づいた。
デュバルは時代を取り戻したいのではない。彼がこれを通じて感じている、レーゾンデートル、彼が彼である為の「存在意義」なのだ、と。
ゴルフには数々のそうした苦難の末に復活劇がある。彼にもいつかきっとそれが当てはまるのだ、と願ってやまない。そう、それはもうすぐなのだ、と信じて。
時としてゴルフは人生になぞらえるものである。
そう、少なくても彼らはまだ終わらない。
彼らが彼らであるために。


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