悪夢。  アレン・ジョンソン 110メートルハードル

悪夢とはこのことだろう。
男子110Mハードルで、絶対的な王者アレン・ジョンソンが敗退した。しかも、二次予選の段階で、である。ありえない敗北だった。
原因はハードルを倒して、バランスを崩し、倒れてしまったためである。陸上競技をよく見ておられる方は彼のことをご存知だろう。
彼はハードルをなぎ倒しながら進んでいく、脅威のランナーである。
普通、ハードルを倒すことによって、余計な力が足に負担としてかかる。そのために、タイムは遅くなるはずなのである。しかし、彼は違う。倒すことによって、それが最短距離になってしまう、ある種意味わからない選手なのである(まぁ、実際には上手く「当てる技術(足からむやみに倒しているのではない)」、倒してもびくともしない「バネ」と「スピード」、そして「力」をもっていることで、説明はできるが)。
その彼が、ハードルを倒して前に倒れる。こんな光景は見たことがなかった。無残な姿だった・・・。
敗因は説明できる。
明らかに、彼はバランスを崩していた。焦っていた。そして、リズムがくるってしまった。
例えば、みなさんがラップをカラオケで歌うとしよう。
たいてい歌う人はリズムと韻を踏むために、歌詞も大体頭に入っていて歌っている事だろう。多分そうしないとちゃんと歌えない。そこで、一度歌詞を間違う(もしくはとまって)といい。すぐには戻れないだろう。
それと同じである。
ハードルはリズムのスポーツだと思っている。
あの距離を3歩なら3歩ときっちりとした反復練習で体に覚えさせる。また、ハードルはみなさんが小中学校で使っていてイメージするハードルよりもはるかに高い。なので、足腰には負担がかかる。
狂ったリズムはすぐには取り戻せない。
ここに悪夢が起こった。
ちなみに女子100Mハードルでも同じく世界王者に同じ「悲劇」が起こった。
もちろん、指摘されているハードルの軽さもあるだろうが、それは理由にはならない。明らかにおかしかった。
波乱に満ちたハードル。さて、誰が勝つのだろうか。


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