ハッピーなお葬式、12/30 ミドリ@リキッドルーム

今日はミドリの解散ライヴに行ってきた。
12月26日。
たまたまツイッターのタイムラインに流れてきた「ミドリ解散!」の文字。
いや、その前から後藤まり子がUSTでしゃべってたのは知っていた。
しかし、ただ事ではないと想い、すぐに見た。
・・・彼女は泣いていた。
事務所がないのはほんまに辛い事、バンド内にできてはならない
ヒエラルキーができてしまった事など、切々と語られる言葉、一つ一つが重く、
そしてまたミドリを愛するが故に、自らの手で終わらせようと決断した、
彼女らしいUSTREAMだった。
考えてみれば、ミドリを知ったのは5,6年前。記憶が確かなら、EMIの加茂さんから
こんなバンドがいる、と聴いてからだ。劔君がいたぐらいだから5年ぐらいかな?
彼がまさか数年後神聖かまってちゃんと関わって映画になるなんて思いも
しなかったんだけどね(それはまた別の話)。
当時から破天荒というか、なんだかなぁとは思いながら、凄いと思っていた。
数年経って彼女達がメジャーというフィールドを選んだのは正直意外でもあった。
息が長いバンドという印象はなく、どこかで壊れそうな、いつ空中分解しても
おかしくないのはきっとみんな知っていただろうね。
だからこそ、今回のUSTでの解散発表はとても「らしい」発表だった。
30日が解散ライヴ。そう聴いた時、気づいたらチケットを取っていた。
現金だといわれるかもしれないね。すごいファンでもないからさ。
でも。それでも。彼女の「けじめ」を観たい、本当に思ったんだよ。
チケット取れた、って事は後藤まり子に「来いよ、お前」って言われた気も
したんだよね(笑
だからリキッドルームへと向かった。
10分押しぐらいで、スタート。
第一声が「ミドリです」。
1曲目から飛ばすのかと思いきや、ミドルテンポな「鳩」。
しかし、これはエネルギーを沸々と溜めている、そんな印象でしかなかった。
会場も暴れたくて暴れたくて仕方ない、という雰囲気だった。
そして曲終わり案の定、ハジメ君が「いくぞー!」と大絶叫して煽る。一触即発。
一気に上げていく感じで大盛り上がり。あぁ、ミドリはこうじゃなきゃ。
6曲目が終わった時、彼女の口から、ハジメが入ったのが大学2年の時で、
まだあの頃の印象があって、小銭君は出会ったときから30歳ぐらいの
印象で、とっつあんはよくわからなくて・・・と思い出(笑)が語られ、
頭悪いからよく数えられへんねんけど、後2日で年があける、明日は31日、
今日は2010年の12月30日です、今日ミドリは解散します。
とはっきりと後藤の口から告げられた。
「出来た曲の中で、一番ボクがハードコアだと思ってる曲をします。」
というMCに続いてスピードビート。この曲、気持ちよくて好きなんだけど、
私はどうもハードコアとかそういうジャンル分けがあまり好きではなくて。
ミドリはキーボードが入ってるからとてもポップな部分も垣間見えて。
破天荒な部分が取りざたされた部分もあるだろうけど、
本当にいいバンドだったと思いながら聴いていた。
途中のMCでは本当は解散を言うつもりはなかった事。でも、チケットが売リ切れ
てなかった事。「めっちゃダサいやろ」という事をいいつつも最後ぐらいたくさん
の人に聞いて欲しい、とも言っていた。
別に無理心中しにきたわけやない。ボクの投身自殺や。明日からみんなが毎日を
すこやかに過ごせたらいいと思う、と言いきった彼女は、
あのUSTで解散を言った時と同じ顔をしていた。
あぁ、本当に終わらせるんだな、けじめをつけるんだな。
きっとその場に居た人たちは思ったと思う。
「リズム」「ハウリング地獄」と続けたあと、「あと4曲や。もうちょっとで終わる」
「えー!!」
「っうっさい!3000円分やったわ。こんなもんちゃうんかい!」
とも言いつつ、
衣装を作ってくれた人から物販のスタッフまで一人一人に感謝を込めていた。
ありがとうという気持ちがなんとも伝わるとても温かいヒトコマだった。
そして、同時に終わらせるんだ、という気持ちがあったんだとしたら、
なんとも泣けるヒトコマだった。
「swing」では、いつものように客席に飛びこんで客の上を女王様よろしく上を歩く。
今日が最後だと言わんばかりに客もゆっくり噛み締めるように、
名残惜しそうに後藤を支える。その姿はまるで崇め奉られた女神。
それはドラクロアの自由の女神か、歓喜に迎えられたジャンヌ・ダルクか。
恐ろしいぐらいに「画」になっていた。
きっとこの画は忘れる事はないだろう。
そして、仰向けに倒れるやいなや客に体を預けてそのまま転がりながらも
ステージに戻り「どんぞこ」。
さぁ、はじめよか!終わりをはじめよか!というMCにぐっと来る。
最後は本当に凄かった。鬼気迫るパフォーマンスでライブ本編を終了させた。
アンコール。
うん。やっぱりというかセーラー服だった。そして曲も懐かしいというか
私が見に行ってた時もやってたあの曲たち。
「あんたは誰や」は本当に鬼気迫ったいいパフォーマンスだったよ。
ラストに「POP」ってさ。なんかずるいよね(笑。
アンコールは全ての人たちに向けた最大のサービスであり、
ミドリを終わらせる為の「儀式」だったんじゃないかと思う。
全てを曝け出す。ミドリがミドリたらんが故の最高の「終わらせ方」だった。
アンコールが終わっても当然帰らない観客。
そりゃそうだよ、このまま終わらせてたまるか!
というみんなの気持ちがとても感じられた。
出てきたのはスギム達。お前が締めろ、
という後藤まり子の無茶振りで出てきたらしい。おこるハゲの野次(笑。
それでも「クリトリック・リス」のイベントの話、swingでの客の上を歩く
まり子嬢の姿がナウシカに見えたなどなかなかいい話もしていた。
そして、終わりは始まりだという事も。
(まぁリキッドより小さい箱で1500円料金からはじめるとか色々な事言ってたけど)
・・・・・・・・・・・話長かったぞ(苦笑
そして、彼もいたたまれなかったのか、舞台袖にいたメンバーを
最後にもう一度登場させる。
メンバーのありがとうという言葉の最後、小銭君の
「めっちゃいいバンドやろ、ミドリって。わしこのバンドめっちゃ好きやねん!」
に象徴されるように、みんなの心の中に同じ気持ちが生まれたんだと思う。
本当にいいバンドだったと、今日ここに来た人みんなが
そう思えるような本当に素晴らしいステージだった。
終わってから偶然マー○ー松○さん、上○さんと
フジファブリックの志村君のお別れ会以来ちょうど1年ぶりの再会。
もうみんなの想いは一つ。
これ、明日でも何ヶ月後でも「やっぱ、もう一回やるわ」って言っても
みんな許すだろうねっていう事。演奏も本当にうまくなっていたし、
最初から最後まで集中力切れることなく神経がとんがってたライヴだった。
これがあと何回か続いたら、もっと凄いミドリがみれるのに。
もったいないよね。という事だった。
でも・・・ある意味今日のステージはやりきったんだと思う。
それぐらい凄いLIVEだった。彼らの一つの到達点が今日なのだとしたら。
潔い解散なのかもしれない。
全く解散という実感が沸かない。ある種の爽快感。美しい散り際。
そして、残る、想い。
これが彼女のいう「ハッピーなお葬式」なんだと。
うん、最高だったよ。最高でした。
さよなら、後藤さん。
さよなら、ミドリ。
セットリスト
1.鳩
2.愛のうた
3.うわさのあの子
4.ゆきこさん
5.エゾシカ・ダンス!!
6.あたしのお歌
7.スピードビート
8.愛って悲しいね
9.リズム
10.ハウリング地獄
11.声を聞きたいのですが、聞こえないのです
12.鉄塔の上の2人
13.swing
14.どんぞこ
-encore-
e-1.獄衣deサンバ
e-2.あんたは誰や
e-3.POP



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