帝王と呼ばれる存在は彼一人。

ジャック・二クラウスが2005年全英オープン二日目で予選落ちしついに
全てのメジャー大会から引退した。
二日間でトータル+3。カットラインに2打及ばなかったものの、
これは丸山茂樹選手よりもいいスコアである。単純比較できないのが、
ゴルフという競技スポーツなのであるが、それでも現役の選手に負けないスコアを65歳でも出せるのである。
アーノルド・パーマーに続きまた一人偉大な選手がまた表舞台から去った。
私が彼を知ったのは小学校の時だ。そして認識したのは1980年の青木功との全米オープンでの死闘だった。中学しか出ていないけれど世界に出て行った日本人がすごい大会で世界最強のプレイヤーと優勝を争うというシーンに不思議なものを感じたのだ。バルタスロールの死闘と呼ばれるあの戦いで惜しくも2位になってしまった青木もそうだが、威風堂々とした二クラウスのその姿には圧倒的な(オーラと言ってもいいかもしれないが)ものを感じ、強く認識した。
あれから、25年。とうとうこの日を迎えてしまった。
実はセント・アンドリュースで行われる全英オープンは来年の予定だった。だが、ジャックの引退の意向なども考慮し、彼への手向けとしてセント・アンドリュースでの花道が1年早く用意された。
そして、二日間のすばらしいプレーと最終ホールのバーディーで「歴史」に幕を閉じる。その堂々かつ(しかも彼自身も)感極まる姿とプレーには誰もが目を離さずにはいられなかった。
ちなみに最後に一緒に回ったトム・ワトソンは私自身はありえないと思うが「新帝王」とも呼ばれた。そのワトソンは「露払い」としては充分に役目は果たした。
そしていつか、タイガーウッズという大きな存在は彼の記録を塗り替えていくだろう。この全英に優勝すれば、もうすでにダブルグランドスラムになるのであるのだから。その台風のような強さはいつか「覇王」と呼ばれるのかもしれない。記録は塗り替えられるものである。
しかし、その紙の色からゴールデン・ベアとも呼ばれ、振る舞い・仕種などを含めて真に「帝王」と呼ばれるべき「存在」は彼一人だけである。未来永劫。メジャー18勝とかサム・スニードに次ぐツアー73勝とか、圧倒的な強さであってもそんな記録「だけ」で帝王と呼ばれただけではない。
こんな選手は現在どこにも存在しない事が皆にもよくわかったはずだ。
ありふれた言葉ではあるが、ここで「歴史」は終わり、彼の逸話は「神話」へと昇華した。しかし、彼はまだ走る事はやめない。
今までもあったように青木功達とともに、これからもシニアツアーという舞台でまだ死闘は続く。まだ終わる訳ではない。
しかし、私も競技ゴルフではないにしろ、ゴルフというスポーツに間接的にでも関わったもの(今は違うが)として万感の思いを込めてこう言いたい。
いやきっと世界中の彼のプレーに魅了された人はこう言うだろう。
Thanks,Jack!


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