中田英寿引退。

中田英寿が引退を発表した。
正直言ってこうなることはある意味予想通りではあった。ただ、個人的にはこの選択はもうちょっと後にしてもらいたかった。だから予想はしていても、ショックはショックでもある。
最終的には所属はフィオレンティーナの選手での選手生活を終了、ということになった。
私は本当に彼のプレーが好きだった。ベルマーレでも確かに違った存在ではあったが、中でも今も忘れない1998年ペルージャでのシーズン。今から思えばこれが彼の最高のパフォーマンスとなってしまったが、ゴールに向かう姿勢、キラーパスといった持ち味は本当にすごかった。時間が流れそのプレーの質も変化していったが、勝ちたいという気持ちは本当に折れることなく、ピッチ上で見せ続けた。
ただし、彼は世界の超一流のプレイヤーではなかった。しかし、日本というフィールドでは最高の選手だった。彼ほどの「意識」を持った選手は今誰もいない。
一体、協会も選手もファンも彼の何を見てきたんだろう。
ブログ内ではなんども書いているが彼は本当のプロフェッショナルだった。
但し、ここで一つ御幣があるかもしれないが、
彼はサッカーという「商品」に見切りをつけたということだ。
意外に知らない人が多かった見たいのだが、元々彼は三浦和良のように生涯サッカーという職業を選ぶつもりは全然なかったし、引退後は競技として関わるつもりはないと、はっきり明言していた。(カズはカズで彼の中のプロフェッショナルを貫いている。進む道は違った)
だからこそ、彼は最後まで「プロフェッショナル」であり続けた。そういう覚悟があったからこそだ。ある意味、彼の人生設計は以前からこういうシナリオができていたのだろう。
ここまで徹底できる選手ははっきり言って日本サッカー史上唯一の選手だと思う。
そこが私が彼を応援する一番の理由なのである。
内輪や馴れ合いではなく本質を見極める。日本的で進んでも差は縮まらないことは明白だったし、それを選ばなかった。
日本的に考える人はイチローのように、とかそういうやりかたじゃ付いてこないよ、とか言う人もいた。それはある意味正しい。しかしそれは同時に器が小さくプロフェッショナルの言葉の意味を知らない日本人が多いということを露呈しているに過ぎない。
そんなものはくそくらえだと私は思う。
もっと今の日本代表も、Jの選手も、そしてファンも。自分の意見を持てというメッセージをここから読み取らないといけない。
そして最後だからこそ、彼は自分のフィールドで、自分の言葉で伝えたかったんだろう。この辺のプレゼンテーション能力も彼の優れたビジネスマンとしての資質が伺える。
よく彼の言葉を読んで欲しい。彼は今後もサッカーをやめることはない。しかし、それはサッカーというスポーツを楽しむように続けていくということであって、競技スポーツとして彼は今後日本を背負っていく存在にはならない。
これももうずっと前から言い続けていることである。
だから、今、今の経験を今後の日本のサッカーに役立てて欲しいとか、中田ジャパンとか言ってる人がたくさんいる。
気持ちはわかるけど、この人達は一体何を言ってるんだろうと思ってしまう。今まで中田の何をみていたんだろう、と。
そして、なんと短絡的な物の考え方なんだろう、と。
短絡的にいるからこそ、中田不要論なんて馬鹿げた話が出て普通に答えているんだし、今回のワールドカップの責任をうやむやにしている協会に対して何もなく、川渕が戦略的に漏らしたとしか思えないオシムの問題(戦略的でなかったとしても、トップシークレットを漏らしたという一点で信用などないはず。マスコミはすでに1面でオシムオシムと大騒ぎだし)に対して話をそらした事については何の感慨も抱かない「ミーハー」な人種である。
私自身は見る側も考えないといけない存在であらなければならない、と思っている。観客は無関心でいればそれですむというものではないんじゃないかと思っている。
日本人もそろそろ今回のワールドカップで気づいて欲しい。
スポーツという「文化」に。プロフェッショナルという言葉に。
彼はこのタイミングで引退したのは、優れたビジネスマンである証拠だし、最後まで彼の「商品価値」を落とさずにむしろ高めた要因でもあるだろう。それぐらいきちんと推敲した練った文であると思う。くしくも役員を務めている東ハトが買収された(今後も役員は継続との事)この日に。
そして、彼はある意味伝説になったのだろう。次の世代へのメッセージを残して。
最後まで自分をぶれることなく進んだ、そんな中田が私は好きである。彼は本当にプロフェッショナルだった。
だからこそ、最大限の敬意を込めて、こういいたい。
お疲れ様。ありがとう、と。
そして、以前から彼が言っていた「職業:旅人」をこれから心ゆくまで楽しんで欲しいと。
ほんとうにありがとう。


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